古手川仁

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俺は居間に移動して、鎌を手に取った。 今日も変わらず、ベランダの窓越しから月光が差し込む。 月明かりのおかげで部屋は明るい。 刃の長い曲線を何気なく見つめる。 ――力。そうだ。あの時は力が必要だった。 初めに気付いたのは、鎌を手にした時。 あの時は、違和感を覚えるほどで特に何も感じなかった。 決定的だったのは、桃太郎クエストで鬼と戦っている時だ。 初めの一撃は全く使えなかった。 多分、俺に覚悟がなかったせいだろう。 二撃目。 『やっと使い方がわかった』 俺は鬼を両断して、そう言い放った。 その時、確信した。 殺意を抱き、この鎌を使用すると命が蝕まれる事に……。
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