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「俺は……」
男は一度 下を見た後、顔を上げて、何かを決意したように言った。
「かぐや姫の結婚を見届けたいんだ!どんな奴と結婚するのか……」
「理由はそれだけー?」
美沙は男に近づき、問いかける。
「そ、それだけだ。駄目かな?」
男は仁の方を見据えながら言うが、瞳には燃えるような真剣さが灯っていた。
そんな男に仁は答えを出し始める。
「山の道は詳しいのか?」
「蓬莱の玉の枝までの道もわかる」
何故、知ってる? と俺なら返してるが仁は予想外の言葉を口に出した。
「仕方ないな。わかった。一緒に行くか」
安心したのか途端に美沙は笑顔に。はるかの表情も困惑から微笑みに変わった。
「名前は?」
仁が男に近づき、手を出す。
「与作(よさく)と申します」
男は仁の手をしっかりと両手で握りしめた。
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