かぐや姫

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山へ差し掛かると、急激に足腰が重たくなる。霧はさらに濃くなってきた。 麓とは違い、木々が全く生えていない山。永遠に土のみが広がっている。 『辛いな。この山は……』 光刀が珍しく声をかけてきた。 見上げると、山頂には霧がかかっていて全く見えない。 随分と他の奴らを抜かしてきたが、先頭集団はまだ見えないな。 まさか……もう登りきってるなんて事ないよな? 「この山を登るのには、どれくらいかかるんだ?」 仁が与作に質問をする。 「慌てる事はない。どんな奴が登っても丸1日はかかる」 丸1日……。それにしても、与作はコンピューターキャラにしてはよく喋るな。 セミナーの時の女や、桃太郎の時の爺さんと婆さんとはえらい違いだ。 まるで本物の人間だ。 「はっ。はっ。た、いくつー!与作!あんた、何でかぐや姫の結婚を見届けたいのよ!」 美沙は息を切らしながら、与作に問いかけた。
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