1361人が本棚に入れています
本棚に追加
「どんな事ー?」
美沙は与作の背中に声をかける。
それにしても険しい山道だな。固い土を踏みしめる度に体力は激しく奪われる。
相変わらず木や草もなく、土しかないが、濃い霧のせいでかなり見通しが悪い。
この険しい道が永遠に続く気すらする。
絶対にはぐれないようにしないと……。
「さっきも言った通り、山を登るのには、どんなに急いでも丸一日かかる。
普通なら。
不思議な事に気付いたのは、登ってる途中。
いくら足を進めても全く疲れないんだ。
まるで、かぐやに引き寄せられるように。
それどころか、段々と足は速くなり、山頂にはすぐに辿り着いた。
そこで……」
突然、話を途中で止めて、与作の体が止まる。
すると、こっちを振り返り口を開いた。
「疲れただろ?もう少しで洞穴がある。今日はそこで休もう」
最初のコメントを投稿しよう!