かぐや姫

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しばらく足を進めると、霧に隠された小さな洞穴を発見する。 与作はその中へ入り、手招きした。 入り口の高さは身長ほどもないため、頭がぶつかりそうになるが、意外にも中は広い。 まるでカマクラに入ったような気分だ。 どこか人工的に感じる。 五人で入っても、まだスペースは余るほど。 これなら全員が横になって寝れるな。 「数時間経ったら、起こす」 与作の言葉に安心して、俺は体を横にした。 もう限界。動けねえ。 そういえば今、何時くらいなんだろう? 現実世界では、下手したらもう仕事が始まっている時間帯じゃないか? わかんねえ。 今日は色々あった。 思い出したくないほど辛いこと。 ゲームの世界の中で寝て、疲れはとれるのだろうか? 『休んだ方がいい』 様々な疑問が浮かぶ中、俺は素直に目を瞑る。 疲れているせいか、眠りに入ったのは、それからすぐだった。
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