蓬莱の玉の枝

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高鳴る心拍数。一瞬にして陥った、この状態は脳の働きを鈍らせている。 降り続く雨によって冷えていた体が、熱くなるのを感じた。 『どうする?やるのか?』 光刀に問われる。やるのか?それは、戦う意味なのか? それとも、殺るのか?という意味なのか? 脳裏に浮かぶ人を殺した時の残像。 俺は再び出来るのか? 『大丈夫。あれはコンピューターだ。人間じゃない』 人間じゃない。人間じゃないけど……。 人間の。人の形はしているじゃないか。 動いている……。 気付けば、男は与作の目の前まで来ていた。 与作は体が仰向けにし、ぐったりしている。腹に突き刺さった矢が痛々しい。 パンッ!
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