蓬莱の玉の枝

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木は見えない。目に映るのは高い岩の絶壁だ。 岩だと認識できるのは、切れ端があることからわかる。 壁じゃない。巨大な岩だ。それだけは間違いない。 山頂に置かれた巨大な隕石が、正しい表現かもしれないな。 「あれ、高さはどれくらいあるんだ?」 仁が冷静な表情で与作に訊く。動揺はなかった。 「およそ40m程だ。」 かなりある。登るのは登山具でもない限り、絶対に無理だ。 岩を登っている人達は数m登ると次々に落下していく。 当たり前だ。雨のせいで、岩を掴めるはずかない。 「何かあるんだろ?策が」 冷静に与作に訊く仁。俺は水を浴び終えた美沙に肩を貸した。 「あり……がとう」 力なく小さな声で耳元で囁かれた。
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