1201人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「後ろ? はるかと仁がいるぞ」
姿は確認出来ないが、すぐ後ろには、はるかと仁の気配を感じ、同時に岩を鳴らす足音が聞こえてくる。
「違う。もっと後ろ……」
後ろには誰もいないはず……。目は暗闇に一向に慣れない。
視界に頼れない、音と感触のみの世界。
今この世界には、五人しかいないはず。
「怖いこと言うなよ……気のせいだよ」
音か……。
ふと思い出す、杏奈の名前。
こんな時、杏奈ならわかるかもしれない。
あいつ、ギターやってたからな。
耳が良いって言ってたような気がする。
久しぶりにアイツの歌が聴きたいな。
そんな時に視界に異変が起こる。
少し離れているが、光が暗闇を浸食していた。
「出口だ……」
最初のコメントを投稿しよう!