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やはり与作の背中は、寂しさを漂わせているような。
先頭、与作。二番、仁。三番、美沙。四番、はるか。五番、俺の行進が続く。
視界は雨と霧に阻まれ、極限まで狭い。
一番後ろからでは、先頭の与作を目で追うのが限界だ。
雨と風は、俺達を追い返すように正面からぶつかってくる。
「与作さあー!」
雨風の音が激しく轟く中、美沙が声を出した。
「何だ?休憩か?今は予想以上に雨と風が強いから無理だ!」
与作は立ち止まりもせず、次の土へ足を踏み出す。
「違うよー!休憩じゃないって!」
美沙は続けざまに、雨風の中へ言葉を飛ばした。
「あんた、かぐや姫が好きなんでしょ!?」
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