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「美沙!」
一瞬、濡れた地面で滑って転んだのかと考えるが、すぐに違うと気付く。
倒れ方があまりにも不自然だった。
完全に力が抜けたのか、身を委ねるように美沙は地面に倒れた。
「大丈夫か!?」
近くにいた仁が屈み込んで美沙の様子を窺う。
「大……丈……夫よ……」
意識は失っていない……。
地面にひれ伏しながら、美沙は小さい声で呟くように言った。
泥まみれになった美沙の体には、なおも強い雨が打ちつける。
限界が近い……。
また洞穴があるなら、美沙だけ休ませるのが妥当な判断だ。
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