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俺も駆け寄り、仁と共に手を貸して、美沙の上体を起こす。
「どうする?美沙だけ近くで休ませるか?」
雨に掻き消されながら、俺は仁に訊いた。
「駄目だ」
意外な答えが即返ってくる。
何でだ?これ以上、無理しても……。
仁は与作には聞こえないように、雨音に声を混じらせて話す。
「今回のクエストは四人同時に挑戦出来ているが、これがチームクエストなのか、単独クエストなのかは把握出来てない」
それだけで十分に理解出来た。
そうか。ここで美沙を置き去りにすれば、クエスト終了の可能性が出てくる。
あくまで四人で挑戦しているだけで、単独の可能性も否定出来ない。
そう考えると、確かに浅はかな行動だ。
「どうするんだ?」
さすがに仁も迷った表情を浮かべる。
「大丈……夫。歩……けるから」
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