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「あまり長居はしたくないからな。集会のタイミングに合わせて侵入する」
バックミラーを見ると、信長さんと目が合った。
なんだか俺の心を見透かされているような気分になった。
高速道路に乗ると、しばらく沈黙を保ったまま走り続ける車。
周りの景色を眺めることでしか時間を潰すことは出来ず、ただその時が来るのを静かに待つ。
いや……1人だけ呑気なのがいる。おじさんは助手席の扉に寄りかかり、鼾をかいて爆睡していた。
正確に言えば、見た目はおじさんじゃないのだが……。それでもおじさんだと、何となくわかる。
本当に大丈夫なのだろうか?
メビウスの輪に侵入した途端、捕まったりとかないだろうか?
当たり前のように増していく不安。
「もうすぐ着くぞ」
信長さんがそう言った時は、既に出発してからどれくらいの時間が経ったのかわからないほど、わけがわからない心境だった。
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