潜入

15/35
前へ
/35ページ
次へ
燃え上がっていた炎は、一瞬にしてかき消える。 炎に貫かれた男達の体は、操り人形の糸をハサミで切ったように地へ崩れ落ちた。 「おい 五十嵐!」 信長さんは俺達の隣にいた五十嵐さんに、鋭い目つきを向けながら呼びかける。 「はい!」 ほぼ同時に五十嵐さんは慌てて走り出した。 優君を通り過ぎ、倒れた4人に向かって、お腹を揺らしながら走っていく。 辿り着くと、倒れた4人の前で屈み込み、手早く何かを始めた。 何をするんだ……。もうすぐ消えゆくはずの死体に。五十嵐さんでさえ、平気で死体に近づいている。 「和也君……」 五十嵐さんの動きに見入ってしまい気づかなかったが、優君は俺達の目の前まで近づいてきていた。 優しい笑顔と心が和む穏やかな雰囲気。 いつもの優君だ。 「これが日常だから」 優君の言葉は深く胸に突き刺さった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1268人が本棚に入れています
本棚に追加