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燃え上がっていた炎は、一瞬にしてかき消える。
炎に貫かれた男達の体は、操り人形の糸をハサミで切ったように地へ崩れ落ちた。
「おい 五十嵐!」
信長さんは俺達の隣にいた五十嵐さんに、鋭い目つきを向けながら呼びかける。
「はい!」
ほぼ同時に五十嵐さんは慌てて走り出した。
優君を通り過ぎ、倒れた4人に向かって、お腹を揺らしながら走っていく。
辿り着くと、倒れた4人の前で屈み込み、手早く何かを始めた。
何をするんだ……。もうすぐ消えゆくはずの死体に。五十嵐さんでさえ、平気で死体に近づいている。
「和也君……」
五十嵐さんの動きに見入ってしまい気づかなかったが、優君は俺達の目の前まで近づいてきていた。
優しい笑顔と心が和む穏やかな雰囲気。
いつもの優君だ。
「これが日常だから」
優君の言葉は深く胸に突き刺さった。
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