潜入

19/35

1267人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「その人になりきるわけだから、当然 骨格も変化するんだ」 優君は自信に満ち溢れながら言った。 「男女関係なく、その人物と全く同じ人間になれる。便利なのは、剥ぎ取る直前まで着ていた服にも変わるんだよ」 信長さんの体はみるみる形を変えて、瞳、鼻、口、ついには輪郭が歪み、段々と別人へとなっていっく。 「さあ!早く被って下さい!」 おじさんは俺の腹に、マスクを握った拳を押し付けてきた。 仕方なく一枚受け取り、マスクを両手で持つ。 「全く。空気ぐらい読んでくださいよ」 信長さんを見ると、既に完全な別人へと変化していた。 背丈が高く、ゴツかった体と威厳がある髭に強面の顔は、細身の体で生気がないような顔の男へ。 腰に差していた刀さえも、どこかへ消えている。 仕方ないか。 俺は覚悟を決めて、マスクを頭に運んだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1267人が本棚に入れています
本棚に追加