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「その人になりきるわけだから、当然 骨格も変化するんだ」
優君は自信に満ち溢れながら言った。
「男女関係なく、その人物と全く同じ人間になれる。便利なのは、剥ぎ取る直前まで着ていた服にも変わるんだよ」
信長さんの体はみるみる形を変えて、瞳、鼻、口、ついには輪郭が歪み、段々と別人へとなっていっく。
「さあ!早く被って下さい!」
おじさんは俺の腹に、マスクを握った拳を押し付けてきた。
仕方なく一枚受け取り、マスクを両手で持つ。
「全く。空気ぐらい読んでくださいよ」
信長さんを見ると、既に完全な別人へと変化していた。
背丈が高く、ゴツかった体と威厳がある髭に強面の顔は、細身の体で生気がないような顔の男へ。
腰に差していた刀さえも、どこかへ消えている。
仕方ないか。
俺は覚悟を決めて、マスクを頭に運んだ。
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