1267人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
頭の上から真下に降ろし、ゆっくり視界を覆わせていく。
マスクが触れると、何とも言えない不快感がした。
ぬめっとした柔らかさに加え、皮膚に吸いつくような感覚。
βl@ck★OUTの器具に似ている。
「うわっ」
吹っ切れて、マスクを完全に降ろすと不快感は増す。
顔の周り全体がぬめりを感じ、なのに吸いついてくる不思議な感じ。
これは耐えられるけど、問題は匂いだ。
生臭い鉄の匂いがマスク中に籠もっている。
これって、もしかして……。
考えると、ゾッとする……。
体全体に違和感があるが、何が起きているんだろうか? 信長さんのように骨格が変わっているようには思えない。
「和也君。もう大丈夫だよ」
優君の声が聞こえ、体が反応する。
どうやら、いつの間にか目を瞑っていたようだ。
優君を見た後、周りを見渡す。
仁は別の人間になっていた。
美沙とはるかは俺達を変な目で見ている。
俺は自分の手を見た。ゴツゴツとした 見慣れない手のひら。
やっぱり違う誰かになっているみたいだ。
『面白いな』
最初のコメントを投稿しよう!