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「気をつけて行ってきなよ!」
こんな時でも美沙は気が強く、帰ってくるのが当たり前のような表情をしている。
わかりやすい奴だな。
しっかりと瞳は心配そうに不安の色を浮かべていた。
その次に後ろからコッソリとはるかが出てきて、俺と仁の前に立つ。
「和也君。仁君。気をつけてね」
「ありがと」
俺と仁は二人にお礼を言った。
絶対帰ってくるとか待っててとか言いたいけど、今の心境でそんな言葉は口から出てこない。
信長さんが既に車へむかって歩き出した時、最後に優君が俺に声をかけてきた。
「和也君。無理はしないようにね」
いつもの優しそうな顔は曇っていた。申し訳なさそうな表情をしている。
「帰ってきたら、僕達の仲間だ。和也君。歓迎会やるからね」
その言葉が少し嬉しい。
気持ちだけでも、絶対帰ってくると思おう。
『大丈夫だ。私がついている』
美沙、はるか、優君の言葉を胸に、俺と仁は車の後部座席に乗った。
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