潜入

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窓から見える景色は、デートスポットで有名な巨大な観覧車や赤レンガ倉庫。海辺前の広い公園。 ライトアップも何もされていない暗闇が広がる街並み。それに加え夜の雰囲気が不気味で、なおかつ人が誰もいない事から恐怖心が湧いてきた。 「既にメビウスの輪の領土には侵入している」 信長さんは動じず、まるでドライブに来ているかのようにあっさり呟いた。 もうここは敵の範囲内なのかよ。 「領土はどれくらいの広さなんですか?」 そう質問する仁はメビウスの輪に関して興味津々らしく、これから友達の家にでも遊びに行くような感じだ。 「横浜全域と考えればいい」 圧倒的広さだ……。今日までただ行くか行かないだけで揉めていたわけではない。 仁からメビウスの輪に関して、仕入れた話を沢山聞かされている。 βl@ck★OUTの中では1位のチームとして有名らしく、仲間に加わりたくて訪れる人も多いそうだ。 「さっそくトラブルか」 信長さんの声に反応し、フロントガラス越しに前に視線を向ける 見ると、何十m先かで、通行止めのように何本もの赤いコーンでバリケードが張られていた。 2、3人が立ち、赤く光る棒を振っている。 それはすぐに検問を想像させた。
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