試練と休息

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ドラゴンの初動は三通り。 一つ目が眠っている。これはかなり運が良いらしい。A地点のはるかが巨大網を投げつければ、ほとんど決着がついたも同然と言っていた。 二つ目がA地点とは真逆にD地点へ走り出す。この動きが一番のハズレ。何故なら、一番近い位置を離れていくことになるため、D地点の担当と接触するまで時間が掛かる。 三つ目が暴れる。周囲の建物を激しく破壊する。人間を狙っての特定攻撃こそしてこないものの、ドラゴンは攻撃力がずば抜けて高いため危険度が一気に上がるとのこと。 一番確率が高いのは、最後の暴れるというパターンらしい。落ち着いて、巨大網をヒットさせればドラゴンは網に包まれて身動きが取れなくなる。 そうなれば、プレイヤーが圧倒的優勢に持ち込め、ドラゴンを一網打尽だ。 何れにしろ、俺の役目は囚われたドラゴンに遠距離攻撃で、徹底的に弱らせること。 『動けない敵を攻撃するなんて、如何にも君専用の仕事じゃないか』 うるさいな。いくらコンピューターの生き物とは言え、俺だって動けない敵に攻撃を仕掛けるのは気が引けるって。 『敵に躊躇するなよ』 光刀の言葉は俺の心に重たくのし掛かった。
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