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思い出した。そう言えば、かぐや姫のクエストで群馬に行く時に、看板を見てはるかと動物の話をしていた。
あの時、看板見て動物園に行きたいと呟いていたっけ。
「和也くんさえ良ければなんだけど……」
明日はもう一度、自分の担当のルートを確認をする予定だよ……とは言えないな。
「はるかは休まなくて、大丈夫なのか?」
「あっ、わ、わたしは……ごめんなさい。やっぱり疲れてるよね」
「いや違う!俺は疲れてないよ!」
「え……」
女性にしては短めの首もとまでのはるかの髪型。横を見ながら、指でかきあげ耳にかける。
透き通った真っ白な肌が玄関の灯りを反射させた。大きな瞳をパチクリさせ、瞬きを繰り返す。
微妙な沈黙。
「はるかが大丈夫なら行こうか……動物園」
妙に胸がドキドキする。
「大丈夫?」
「ああ。寝ているだけじゃ、体に悪そうだからな」
「ありがとう。ごめんね。どうしても動物園に行きたかったんだ」
明日は動物園に行こう。
あっさりと俺の心は動かされた。
深紅の唇が緩み、微笑む はるか。優しい笑顔は何よりも美しく見えた。
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