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話が終わった後、とうとう土方さんは口を開いた。
「以上で終わりか?」
凍りついたように強張った表情は、怒っているのか悲しんでいるのかすらわからない。
セスさんとおじさんは首を縦に動かす。
「僕のせいだ」
そう言う優くんの瞳は、これ以上にないほど揺れていた。
「敵は強かったのか?」
土方さんの問いにおじさんは額に汗を浮かべながら話す。
「神と三国志は一目見て、他と雰囲気が違いました。襲ってきた奴は間違いなく化物です」
あの化物の姿が頭から離れない。水面に浮かぶような不気味な長い髪と鋭い牙。像の足。七色に変化するように見せた尻尾と頭から生えた耳。
『怖がるのも無理はない』
珍しく光刀は恐怖を肯定した。
土方さんは表情を険しくし、黙りこんでしまう。
それから部屋には重たい空気が流れる。
美沙の表情がいつもと違う。明らかに心配していた。はるかは不安そうな瞳を浮かべている。
一度、唸ってから土方さんは声を発した。
「セスと総司はしばらく外出禁止。それぞれが率いる隊は俺が命令する。五十嵐、お前は俺の雑用係だ。信長の隊のメンバーは、それぞれの隊に分散させる」
座っていた土方さんは勢いよく、立ち上がった。
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