試練と休息

3/26
前へ
/26ページ
次へ
話が終わった後、とうとう土方さんは口を開いた。 「以上で終わりか?」 凍りついたように強張った表情は、怒っているのか悲しんでいるのかすらわからない。 セスさんとおじさんは首を縦に動かす。 「僕のせいだ」 そう言う優くんの瞳は、これ以上にないほど揺れていた。 「敵は強かったのか?」 土方さんの問いにおじさんは額に汗を浮かべながら話す。 「神と三国志は一目見て、他と雰囲気が違いました。襲ってきた奴は間違いなく化物です」 あの化物の姿が頭から離れない。水面に浮かぶような不気味な長い髪と鋭い牙。像の足。七色に変化するように見せた尻尾と頭から生えた耳。 『怖がるのも無理はない』 珍しく光刀は恐怖を肯定した。 土方さんは表情を険しくし、黙りこんでしまう。 それから部屋には重たい空気が流れる。 美沙の表情がいつもと違う。明らかに心配していた。はるかは不安そうな瞳を浮かべている。 一度、唸ってから土方さんは声を発した。 「セスと総司はしばらく外出禁止。それぞれが率いる隊は俺が命令する。五十嵐、お前は俺の雑用係だ。信長の隊のメンバーは、それぞれの隊に分散させる」 座っていた土方さんは勢いよく、立ち上がった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1127人が本棚に入れています
本棚に追加