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それからしばらくして、セスさんから一度ログアウトした方が良いという話があり、俺達は帰ることになった。
優くんは最後まで、ぼんやりとした表情のまま瞳に込み上げてくる何かを必死に抑えているような状態だった。
車は、地下の駐車場に置いてあるのを一台借りることになる。セスさんはそこまで俺達を送ってくれた。
行きは自宅の近くの駅前からスタートしたのに、今は新撰組屯所にいる。
何だか不思議な気分だ。メビウスの輪に行ったこと、あの集会や信長さんが死んだことが嘘のように思える。
でも帰り際に部屋に置いてきたカメラが、現実を少し感じさせてくれた。
あれは最後に信長さんが、俺に渡してくれた遺品みたいなものだ。
セスさんは帰り際、俺達に言った。
「明日から毎日、屯所においでよ★クエスト攻略、手伝うからさ♪」
どんな精神構造になっているのだろうか?
事件があった直後は動揺していたように感じたのに、帰り際には以前会った時と変わらぬように見えた。
その後、俺達は自宅に戻るとログアウトして、一度 解散する。
ログアウトしても、夢から覚めたように現実へ戻るわけではない。
自分の部屋はゲームの中と、何も変わらない。
それから疲れはて、すぐに寝てしまった。
激しく疲れた体は、何かの運動後のように重たい。
そこまで疲れていると、次の夜がやってくるのも早かった。
俺達は再びログインして、新撰組屯所へ向かう。
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