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「準備はいい?」
優君の言葉に俺達は頷く。
新撰組屯所に集合したのが11時。
俺達は優君と待ち合わせした後、領土から少し外れたクエストボックスへ案内してもらった。
何でも土方さんの許可をもらい、クエストボックスまでの案内のみという条件つきで外出許可をもらったみたいだ。
華やかなオフィス街。建ち並ぶビルの間に、クエストボックスは、あえて目立つように設置されていた。
見上げる程の高層ビルの間に潜む、異様に屋根が低く感じる建物がクエストボックスなのだが、上部に取り付けられた看板は土方さんに条件として出されたクエスト名が書かれている。
逃げ惑う強き存在。
現在時刻は正午10分前。
先に使用者が居た時の事や、DIMを入れる準備のため、少し早く来た。
「大丈夫。難しい事じゃない。練習した事が出来れば、すぐにクリア出来るはずだから」
俺達は再び頷いた。
「じゃあ、頑張って。僕は案内だけで屯所に戻る約束だから、先に帰って、良い報告を待ってるよ」
「色々ありがとう」
俺がお礼を言うと、今度は優君が頷いた。
「じゃあ行くね」
優君の靴からはエンジン音が奏でられ、白煙が溢れだした。
「きっと成功するって祈ってるよ」
凄まじいエンジン音を轟かせ、優君の体が宙に浮かび始める。
これがフライシューズか。
瞬きをした後、優君は一瞬で空の彼方へ星になるように消えていった。
見送った後に仁が口を開く。
「じゃあ、行くか!」
その言葉に心が引き締まった。
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