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俺の体は、自分でも信じられないスピードで前に動いた。
左右の足を全力で動かし前に進む!
進む景色。視界に入った建物は次々に後ろへ流れていく。
よし!良いスタートをきれた!
(残り時間 495秒)
大通りをこのまま進み続けるわけではない。
まずは三つ目の曲がり角を右折する。
その時点で残り600m。予定では残りの距離が約500mで、はるかがドラゴンに接触する。
それでもはるかは、手を抜いてる気がした。
本番はもっと速いかもしれない。何か俺達の知らない隠された力を本気で使うなら。
「!」
「ォオオォオォオオオ!」
耳を割くようなけたたましい叫び声。街全体に響き渡るような巨大な音。
人間の声でない事は明らかで、なおかつこんな生き物の声は聞いた事がない。
ドラゴンだ。
優君に教えてもらった一つ目の眠っているという可能性は、この時点で消えたことになる。
俺は自分の体を、やや右に向けた。
三つ目の曲がり角を右折する。
残り487秒。現実世界なら速い方だが、ブラックアウトの中で考えると遅い。
『体が固い!緊張をほぐせ!』
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