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ズドドドドン!
直後、激しい破壊力を目の当たりにし、凄まじい地響きと共に粉塵が吹き荒れる。
俺は反射的に左腕で顔を隠した。
初めに鋭く光る巨大な白い牙が目に入ってきた。緑色の硬そうな鋼の肉体に太く長い尻尾。
広い通りの中央に、雄叫びを上げながら、構えている。
あれがドラゴン……!
ビルの三階まではありそうな肉体は、俺から見れば化物にしか見えなかった。
尻尾はビルを突き破り、路上には瓦礫の残骸や硝子が散りばめられている。
およそイメージ通りの姿は、より恐怖感を高めた。
違う。動揺をしているのは別の理由だ。
ドラゴンは怒り狂ったような憎悪を感じさせる瞳で、どこかを見ている。
自由に動いているドラゴン。
巨大網に捕らわれている様子はない。
失敗した?
いや……。
見渡す限り、はるかがいない。
ドラゴンの遥か向こうからは美沙が姿を現した。
『まずいぞ』
わかってる!
(残り時間 375秒)
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