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突然、閃いたアイデア。
それが成功すれば、私が望む早期決着をつける事ができる。
練習の時に巨大網の強度を確かめたけど、あれに捕らわれたら逃げ出すのは難しいはず。
しかも、ぎっしりと体に密着する。網とユキヤの間に粘土が入れる隙間はないため、破ることはできない。自力なんてもっての他だ。
「ほら。次、行くぞ!」
気配が二つ。真上からと真っ正面から粘土が近づいてくるのを私は肌で感じ取った。
すぐさま地を蹴り、右方へ脱出する。
次の瞬間、私が居た位置では、爆発するように空中で粘土が衝突し合った。
「もう感覚を掴みとったか。さすがだな」
ユキヤは戦い始めてから、まだ一歩も動いていない。
私はユキヤを一歩動かすだけで勝てる。
それは巨大網を仕掛ける時であれば……。
続けざまに、二撃、三撃と来るが私は冷静にそれらを避けた。
重なり合う粘土がぶつかる音。
問題はその巨大網を当てることだ。遠距離から投げても、鉄球と同じように防がれてしまう。
「なあ。はるか」
ユキヤは突然、攻撃の手を止め、口を開いた。
「お前……何で逃げ出したんだよ」
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