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私は地面を蹴って、直線に駆け抜ける!
空を飛べば早いけど、何かを吹っ切りたいのか、私はただ走りたかった。
自分の足で走りたかったんだ。
一瞬で流れ行く景色。
私の持ち場であるA地点のルートは、右左折を合計6回しなければならない。
それでも距離は四人の中で、一番短い。
スピード重視よりは、巨大網で確実に捕獲することが優先事項だ。
和也くんと美沙ちゃんが来るまでに済ませればいい。
『使えねえな!グズ!』
『ノロノロすんなよ』
『お前はいらないから』
あの頃とは違う。私は変わったんだ。
馬が走る時って、瞳は先しか見てないでしょ。
私はあの瞳がすごく大好きなんだ。
生きる意志が伝わってきて。
輝きに満ちている。
私も同じ様に駆けて、目標に辿り着きたい。
一回目のカーブ。
私は大通りを右折した。
「!」
しかし、すぐさま足に力を入れ、スピードを急激に緩めて私は立ち止まった。
ビルとビルの間からは冷たい風が吹き抜ける。
「はぁ はぁ」
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