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「苦労したんだぜ。逃げ出してから探し出すのに。ここに来たのは偶然じゃねえ。お前を連れ戻すためだ」
広い道のど真ん中でユキヤは立ち止まり、私に向かって手を伸ばした。
一体、どうやってクエスト内に?
不可能に近いけど、考えられるとしたらエンプティーインジェクションの可能性が一番高い。
「何も言わずに戻ってこいよ。お前の回復能力が必要だ」
ユキヤは掴めと言わんばかりに、遠く離れた場所から手を私に伸ばしてくる。
「もしも戻って来ないなら、クエスト内にいる仲間三人は殺す。そうすりゃあ、戻って来れるだろ?」
袖が捲れて、金の腕時計が姿を現した。
「ユキヤは輝いてる物が、相変わらず好きなんだね」
「ぁあ?」
決めたんだ。和也君達と一緒にいるって。
「見せかけだけじゃ、憧れと嫉妬は何も変わらないよ」
決めたんだ。私は自分の好きな道を走るって。
「ごめん。ユキヤ。逃げ出したのは謝る。でも、私は行かない」
「お前、それがどういう事かわかってんのか?」
嫌いなわけじゃない。
だけど私は今のみんなと一緒に居たいんだ。
「私は行かない!」
「今の仲間を殺すぞ」
「わかってる。皆に手を出すなら私があなたと戦う」
私は皆と一緒にいるんだ。
こんな場所で立ち止まってる場合じゃない。
私には一番重要な役目があるんだ!
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※警報※
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