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直後、左側に危機感が働く。
ドゴッッ!
重たく鈍い音が、辺り一帯に響き渡った。
危なかった。
危機感が働いた瞬間に、私は鉄球を全て浮かせ、左側へ集中させた。
鉄球は確実に何かにぶつかったはず。
しかし数十個もの鉄球が浮かぶ先には、何もない。
やっぱり粘土か。
「さっすがー!」
そう言いながら、ユキヤは高らかに笑った。
ユキヤのエンプティーの能力は“見えない粘土”。
人間の体ほどの大きさなら、自由に形を変えることができる。
また大きさの変更も自由自在、なおかつ凄まじいスピードで空中を飛び交い、加えて圧倒的な破壊力を誇り、強度も鉄以上の硬さ。
粘土の壁を作り、盾のように防御体制を整えることも出来れば、今のように打撃としても使用可能。
攻守ともに優れたバランス型。
何よりも、目には見えないないのが強みだ。
私は紐が縮み戻ってきた鉄球を、全てユキヤに向けて飛ばした!
「軽率な行動だな」
ドドドドドドドドドド!
鉄球はユキヤに当たる直前、見えない何かにぶつかり、あっさりと跳ね返されてくる。
やっぱり粘土で防がれた……。
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