佐々木はるか

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今のは、瞬時に粘土で形成した壁を鉄球の前に立たせただけだ。 自分でも私は臆病だと思っていたが、意外と冷静になれている。 決定的にユキヤより私が優っている部分。 ユキヤは攻撃、防御は確かに私より圧倒的だ。 「ほら!ボーッとすんなよ!」 「!」 ボキッ! 体の中で鈍い音が走ると、視界が激しく動き回り、体が前に倒れ、次には地面を見ていた。 後ろから粘土で殴られたみたい……。 背骨が折れ、筋肉、皮膚にもダメージを負ったようだ。 吐き気と目眩が一気に襲いかかってくる。 「はぁ、はぁ、はぁ」 呼吸を整え、私はすぐに立ち上がった。 「回復か……。相変わらずだな」 ティーポットに注ぐ水は、私の体の中に潜む命力が源になっている。 私がユキヤより優れている部分は、命力の量と能力の多さだ。 命力はゲームに例えるならMPみたいなもので、スキルやエンプティーを使う源となる力。 人それぞれ量は違うけれども、私の今の命力はユキヤより圧倒的に高い。 この短い間に立てた作戦。 和也君の記憶を封印した“メモリーロック”を使い、ユキヤの記憶を封じよう。 封印はユキヤの脳に存在する私の記憶。 そうすれば、ユキヤは私を忘れてくれる……。
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