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神が気に入る人物か。
『見ろ』
「ああ」
良く見ると、洞窟の奥の方からはうっすらと灯火が見える。
俺が近づいてきた事はわからないのか?
随分と無用心だな。気付いてはいたけど、領土も何もなし。
ただ単に洞窟に拠点を構えているだけ。
俺は暗闇に足を踏み入れた。
僅かに見える灯火を頼りに、足を進めていく。
『不気味だな。普通ならこの位置まで近づけば、気づかれてもおかしくない』
だよな……。俺、自分で強いって自信があるけど、内心びびってるよ。
『待て……』
反射的に足が止まった。
視線の先の灯火が動き、こっちに向かってくる。
俺は光刀の柄を掴み、万が一に備えて警戒した。
『殺意は感じないな』
待っている時間で極度に体が緊張を感じ始める。
このスリルあって、ゾクゾクする感じがたまらないわ。
やがて灯火はすぐそこまで辿り着いた。
メラメラと燃え上がる炎。松明だとわかる。
俺は息を飲み、向こうの反応を窺った。
すぐに向こうが口を開く。
「炎神だな?」
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