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光刀を知っている?
陽の光に照らされ、初めて男の姿がはっきりとわかる。
全身が汚れを知らない綺麗な白いローブに包まれた男。
後ろ姿からでも、隙が見当たらないことが窺わせられる。
「何故、光刀を?」
男は俺の質問には答えずに、止めていた足を再び動かして、洞窟の外に出る。
俺は後に続いた。
短い間ながらも、浴びた陽の光が眩しい。
男は洞窟のすぐ側に立つ、古く樹齢を感じさせる大木に寄りかかると、やっと口を開いた。
「神に言われて来たんだろ?」
「何で、それを知っているんだ?」
薄気味悪い野郎だ。
全てを見通したような口調は、俺に嫌悪感を与えた。
やっぱり誰かが連絡したのか?
「まあな。内容を話せよ」
この上から目線。てめえ、何様だ。ひっぱたいちゃうぞ!
とは言わずに大人な俺は、冷静な対応をした。
「もうすぐブラックアウトが始まって以来の戦争が始まる。戦う相手は新撰組とだ。そこで、神はあんたに戦争に参加して欲しいらしい。その代わり、報酬は如何なる望みも叶えると……」
ローブの向こう側に見える顔。
一度、軽く笑ってから口を開いた。
「お前、ここへはどうやって来たんだ?」
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