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「全員屯所内へ戻れええぇ!」
「屯所で待機だああ!」
突然、慌ただしくなった場は緊迫感が生まれ、周りの人達はすぐに屯所へ向かって走り出した。
組長達は流れ星のように地を蹴って、空に向かう。
空が飛べるのか……。
見上げた先には視界いっぱいに広がる新撰組屯所。
大きく構えたお城は空の先まで果てしなく続いている。
幾重にも積まれた瓦で作られた屋根は数えきれず、平行に空へ伸びていた。
「ぼやっとするな!」
前に居た男が俺の胸ぐらを掴み、凄まじい力で強引に引っ張る。
すぐに離されると、俺は一緒に走った。
「移動方法が不明なんだ。必ずしも対象者を勝手に戦場の地へ運んでくれるとは限らない。屯所内にいるのが一番、安全だ」
男が言うことは最もだ。
だから皆、慌ててるのか。
戦争が始まる……。
現実感はないし、正直なんでここにいるのかすらわからない。
いつから、こんな状況になったのだろうか?
ユキヤ……。ユキヤ……。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。ユキヤ。
やはり俺はおかしい。
それでも必ず探し出してやる。
『全て君に任せるよ。私は君についていくだけだ』
俺は屯所内へ入った。
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