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何かの見間違いかと思いながら、私は目を擦った。
あれ? おかしいな。いつも見下ろしているはずの無数のビル群が見当たらない。
擦った目を、もう一度ちゃんと開けてから見渡してみます。
まるで隕石でも落ちて、全てを吹き飛ばしたかのように、果てしなく何もない荒れ地が広がっていた。
まだ昼間だというのに、空は真夜中のように漆黒に包まれ、離れた場所では濃霧が広がっている。
「これはどういうことでしょう……」
まさか……別の敵が攻めてきて、この辺りの建物全てを吹き飛ばしてしまったとか?
いくらなんでも、それはありえませんね。
「──!」
あれは……。
浮かぶ濃霧の遥か先に見える、同じ高さの物体。
視力が極めて優れた私には、それが何なのかすぐにわかった。
全壁が鏡で作られた建物は、写真などですが何度か目にしたことがあります。
メビウスの輪のアジトですね。
「総長!総長!起きて下さい!副長からの命を受けて、起こしにきました!」
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