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─────古手川仁─────
《さあて!いよいよあと二時間でチーム対抗戦がスタートします!》
ブラックアウト専用のブラウン管テレビから流れてくる音はせわしなく、妙な緊張感を漂わせる。
《視聴料は500万円!応募の締切まであと一時間です!お問い合わせはセンターまでお願いします》
流れてくる音は戦場の地にいない、一般プレイヤーに向けて流されているものだ。高額の視聴料を支払えば、今回の対抗戦をテレビで見られるらしい。
チームの情報が全て流れてしまうんじゃないだろうか?そう考えていたがその疑問はすぐに解決する。
どうやら映されるのは荒野のみで、建物の中は放映されないらしい。
「ちょっと用意してくるわ」
戦場の地へ移動してから約一日が経過。いよいよ、開戦を迎える。
「何の用事だ?」
隣に立つ和也が俺の方を見て、質問をしてきた。
「ちょっとな」
目の前には視界いっぱいに広がる窓と腰の高さには手すり。
俺達はそこから荒野を眺めていた。
いや。メビウスの輪のアジトを見据えていた。
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