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あと数時間で、新撰組屯所がチーム対抗戦の場である荒野に移動されるらしい。
そんな話が活気溢れる屯所内に飛び交っている。
≪全員、自室で待機!≫
流れ続ける放送。誰もが慌ただしく、行ったり来たりして準備を整えていた。
いつもとは違う雰囲気。殺伐とした空気が屯所内全体に緊張感を漂わせる。
「いよいよ。始まるな」
隣を歩く仁が重たい口調で話した。背負っている鎌は、相変わらず鋭く光っている。
俺は疲れ気味な仁の表情を見ながら口を開いた。心なしか長い緊張によって口の中が渇いている。
「ちゃんと寝たのか?何、やってるのか知らないけど、最近、全然寝てないだろ?」
「そうだよー。仁。でもそれを言ったら、和也もそうだけどね」
美沙はこんな時でもいつもと変わらず、明るく振舞っている。
俺にはそれが心地よかった。
「大丈夫。最低限は寝たさ」
そう答える仁の表情はやはりちょっと疲れ気味なのが伝わってきた。
仁と美沙に合流したのは数時間前。
ここ最近、俺達はそれぞれ個々に行動をとっていた。
その背景は副長の土方さんに新撰組入隊の許可をもらった日から少し後に遡る。
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