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「そうですね。すみません」
土方さんは玉座で片膝を立て、その上に肘をおいた。
「時間がねえ。早くしろ。戦争前に最後の集合があるんだ」
苛々とした表情を浮かべ、眉間に皺を寄せる。
「あの……」
「随分と鍛えたみたいだな。呪いから逃れるために……。卑弥呼から聞いてるぜ」
この緊張した空気を悟ったのだろうか。
自分から急かしたのにも関わらず、俺の話を遮った。
「あなたは優しいんですね」
凍りついた広い空間には二つの声が響き渡る。
「あぁ?」
「あなたは作戦のために人数を誤魔化すからと俺達が仲間になるのを拒んだ。でもそれは違う!本当は入ったばかりの新米にリスクを背負わせたくなかったからだ。万が一の時、少しでも生存確率をあげるために!」
土方さんは僅かに笑顔を浮かべてから口を開いた。
「とんだお人好しだな」
「何でも構いません」
「用件を言え」
「中途半端は嫌いなんです。俺を正式に新撰組に入れて下さい」
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