開戦

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「へえ。チーム登録を……ってことか。わざわざリスクを背負わなくても勝った後、登録すればいいんじゃねえか?」 氷のように冷えた鋭い視線だが、言葉の影には優しさが隠れている。 「言ったはずです。中途半端が嫌いなんです」 「登録をする意味は?」 「覚悟と意志です。自分に負担をかけて、ちゃんと意識しなければ勝てる気がしない。それだけです。俺が加わったところで意味はないでしょうが……」 本当は知っていた。土方さんがチーム登録をしない理由を。 あまりに信じられず、まさかとは思っていたが、ここにきて確信に変わる。 噂で流れてきたことだが、チーム対抗戦のルール追加が発表された日から新撰組には入隊の希望者が押し寄せてきたらしい。 逆にメビウスの輪にも同じことが起きただろう。 勝った方は条件が整い、メインストーリーへの道へ進める。 これが予想以上にプレイヤーへ影響してしまった。 土方さんはそれを全て拒否。 思い出すのは卑弥呼さんの言葉。 実は昨日、土方さんにチーム登録を断られた後、俺は卑弥呼さんの所へチーム登録のお願いに行ったんだ。 『副長は時には厳しいですけど、根本的には優しいんですよ』 この先に言われた言葉が何よりも衝撃的だった。
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