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土方さんはしばらく考え込む仕草をしてから、不意に玉座から立ち上がる。
俺の目の前で来ると、懐からDIMを取り出した。
「勝手にしろ……」
DIMの赤外線が俺に向けられる。
俺は自分のDIMを取り出して、土方さんのDIMの赤外線に合わせた。
「ありがとうございます」
ピー!
高らかな電子音が奏でられ、あまりにも呆気なくチーム登録が完了した。
「そもそも、お前がどうなろうと知ったこっちゃねえからな」
そのまま二人同時に懐へDIMを仕舞い込む。
「──!」
ドンドンッ!
乱暴なノックの音と共に、音がした方へ視線を向けると一人の隊士が慌ただしく扉を開き、部屋へ入室してきた。
「どうした?」
土方さんは険しい表情で、激しく息切れした隊士に問いかける。
「副長!敵に動きがありました!」
息を切らした隊士は必死にそう言った。
そう言えば、この部屋には窓がない。
いや壁が凍りついてるだけで本当はあるのかもしれないが、見渡す限り氷に埋め尽くされ見当たらない。
「わかった。すぐ行く……」
いよいよだ。戦いが始まる。
和也。美沙。勝手なことをしてごめん。
この戦いが終わったら、ちゃんと話すから。
何故、チーム登録をしたのか。
勿論、今思ったことや、中途半端が嫌いなのは嘘じゃない。
ただし、本当の理由は別にある。
はるか。
和也は死にそうなほど苦しんでるぞ。
誰かに殺られたのは間違いない。
和也は冷静を失って、怒り狂ったような状態だ。
俺がそいつを見つけるから。
犯人がわかるまでもう少しなんだ。
間違ってない。はるかを殺した奴は一人じゃない。必ず加担者がいる。
この新撰組に。
俺がそいつを見つけ出す。
焦る心を抑え、俺は和也と美沙の元へ戻った。
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