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強い風が吹く荒々しい大地。視界の限りに続く固い土の地面が広がる殺風景。
《開始まで残り5分》
刻々と迫るその時を、どこからともなく聞こえるアナウンスが、荒野全体に山彦しながら告げる。
それぞれの持ち場につき、俺は自然と身を屈めた。
一つの隊には約15人~30人が所属している。
俺がいる一番隊は攻撃側で21人のメンバー構成。
全体的に見るとひし形の形となり、一番隊は左側に位置する。
優君を先頭に、後ろに二人が並び、次に三人、四人、五人、六人と続く、ピラミッドの形。
俺は一番後ろの列の右端につかされた。
左に立つのは全体集合の時に前に居た大柄の無精髭を生やした男だ。
右を見ると、遠く離れた場所にセスさんの隊がついている。
あの中には仁がいるはずだ。ここからだと良く見えない。
本当はその中央から後ろの位置に総長が立つはずだが、未だに現れる気配はない。
どういうことだ……?
双眼鏡で確認した人から聞いた話だが、メビウスの輪のアジトから人が出てくることはなく。それは未だに変わった様子がない。
《開始まで残り3分》
極限まで高められた緊張感は簡単に体の動きを固くした。
「はぁはぁ。落ち着け」
声に出して、なんとか落ち着けようと努力する。
「ふぅ。何とか間に合いましたね」
その時、後ろから聞いたことがあるような声が耳に入ってきた。
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