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「へえ。短い間にまた少し見違えたじゃねえか」
玉座に座る土方さんは、まるで俺達を商品でも見るかのような瞳で、眺めながら言った。
俺達は横一線に並び、玉座の隣には優君が立っている。
二人共、いつもと変わった様子はなかった。
「でしょ?土方さん。僕は和也君しか教えてないけど、卑弥呼さんとセスからは仁君と美沙さんの報告を受けてます」
優君の手には、浅葱色の羽織が何枚か持たれていた。多分、三枚。
俺達の分だ……。
「まあ、結果的に言えば、お前らは新撰組に入隊することになる」
土方さんは優君から羽織を受け取りながら、落ち着いた口調で話し続けた。
「ただし、正式にチーム登録をするのは戦争が終わった後だ」
「何でですか!?」
珍しく、すぐに仁が食ってかかるように土方さんに問いただす。
「建物内にいれば戦場へ運ばれるからな。一人でも、二人でも良いから、人数を撹乱させたい。理由はそんなところだ」
羽織が一枚、一枚、俺達に向かって投げられる。
宙に舞った羽織に、俺は手を伸ばして掴んだ。
「安心しろ。勝った時には入れてやるからよ」
くそっ。またか。
「渋谷和也」
「はい」
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