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組長達は前に横一線で並び、他の隊士達は隊ごとに分かれて、列を乱すことなく綺麗に整列している。
一瞬、高校の時の朝礼を思い出すが、張り詰めた緊張感によりすぐにそれはかき消される。
これは軍隊と言っても嘘ではない。
それぞれから、これまで積み重ねてきた独特の経験値を肌で感じ、生温い空気は一切なかった。
戦いの前だと、こんなにも息苦しい空間が作られるんだ。
俺達はここで別れ、それぞれ自分達の隊の列に並ぶことにした。
俺は優君の隊だから一番隊だ。列の後ろに回り込み、静かに一番後ろに並んだ。
前を見ると、組長達の横に高い壇とマイクがセットされている。
おそらくあそこで局長が喋るんだ。
「あっ。お前が新入りか」
俺の前に並んでた男が振り返り、張り詰めた空気を破るかのように気さくに話しかけてくる。
歳は30代前半くらいだろうか?
無精髭を生やした大柄の男は、俺の背中を軽く叩き笑った。
「緊張するなとは言わないが、あまり追い詰めると本番で失敗するぞ」
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