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「はい」
力強く叩かれた背中は、若干の痛みを感じる。
大柄な男はさらに話を続けた。
「ぶら下げた刀の力に期待してるぜ」
無精髭を生やし、体格の良さと強面の顔からの迫力は、見た目からしたら優君よりも強そうな気がする。
「なるべく沖田組長に、迷惑かけないようにしろよ」
その男の何人か先には、メビウスの輪に潜入した時に行動を共にした、おじさんが並んでいた。
中年太りした体は、やはりこの中にいると異様に目立つ。
何よりお腹を擦りながら、眠そうに立っているのが他の人達と違っていた。
全くこっちに気づく気配はない。
その時、がやがやとした空間に、一気に静けさ広がる。
壇上を見ると、ちょうど短い階段を登りきり土方さんが上がっていた。
「全員、揃ってるな」
マイクから通された声がオフィス街に響き渡る。
「じゃあ局長から話をしてもらう」
そう言うと、壇からゆっくりと降りた。
すぐに別の男が壇に上がる。
あれが局長か……。
「長きブラックアウトの歴史に、これまでで一番の戦いを迎える時がきた」
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