柳生十兵衛

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むせるような熱気は戦場独特のものとしか言い様がない。 ぶつかり合う刃が奏でる金属音。乾いた銃声。轟くおたけび。悲痛な叫び声。撒き散らされる血。全てが一体化して、戦場に立つ者を飲み込む。 メビウスの輪アジトの麓の出口からは、まるで巣から出てくる蟻のように次々と人が溢れでている。 苦戦。一言で表すとそうなる。あの人数に対して、伊達の隊は20強しかいないのだから当たり前か。 しかし沖田の隊とセスの隊が駆けつけるまでは持ちそうだ。 四大元素と三国志はどいつだ? 探してみるが、それらしいのが見当たらない。 「一人 上空にいるぞおおぉおお!」 見つかった……。 我輩は再び動き出し、メビウスの輪アジトの側面へ回り込む。 後ろを銃弾の雨が通過するのを肌で感じとる。 ここまで来れば、あと少しだ。 我輩はそれを見た瞬間、確信を得た。 エンプティインジェクション“瞬速”。 視界は一気にその場所へ流れる。
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