柳生十兵衛

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開いた音が静寂な大聖堂内に響き渡る。同時に冷たい風が吹き抜けてきた。 ここに敵はいないのか。 気配もなし……。 我輩は扉を抜けて、大聖堂に侵入した。 天井が高い。 見上げた先には、何段かに分かれた、変わった形の高い壇が設置されている。 あそこが集会の時に神が立った場所か。 ここまで静かすぎると不気味だな。 耳を澄ませると、わずかにだが騒がしい戦場の声が聞こえてくる。 奥まで進んで、ひたすら調べるしかないな。 とりあえずは壇の上までいってみるか。 我輩はフライシューズを起動させた。 バイクのように激しいエンジン音が反響を繰り返す。 その音が轟く中、確かに聞こえる。 「柳生十兵衛ですか」 この声は……。 我輩は三国志の誰とも接触していないので、声だけでは判断ができない。 「まさか、もうここへ来るとは」 エンジン音に紛れ、響き渡る声に集中する。 神なわけないよな。 どうせなら曹操がいい。
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