柳生十兵衛

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後ろか……。 我輩は空中で静止し、顔を横に向けて背後を確認した。 どうやら初めから居たようだ。 その者は壁に寄りかかり、我輩を見ずに腕を組んでいる。 「危険視している人間が一人来てくれてよかった。ここで始末できるなら好都合だ」 間違いなく敵。 どうするDIMを使うか? しかし、その必要性はすぐになくなる。 「私の名は孫権。三国志の一人」 アンラッキー。まさにその言葉が一番合うな。 その名前は曹操以外の人物だが、やはり良く知っていた。 我輩は、こいつに一番合いたくなかった。 額には汗が滲む。 非常に危険な状態。 今、置かれている状況は、この上なく危ない。 ブラックアウトをプレイするにあたり、これほどまでに危機的な状況を感じとったことはない。 言葉が出なかった。 「戦うからには静かに。あなたは私以外の誰にも死を看取られず朽ちていくのです」 応用として、命力は数字化することが多い。ゲームのMPみたいなものだ。 そうする事によって、自分自身の力を知ることができる。 戦いにおいて、一番大切なことは自分の力量を把握し、敵と接すること。 「始めましょうか」 我輩の命力は絶好調時で5万前後。 明らかにその人物からは、50万以上の命力を感じとらさられる。 実に10倍以上の差は、我輩の心を折る勢いほどの力だった。
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