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孫権が動き出す……。気をつけなければ。
“三池典太”(みいけてんた)。
これが我輩の愛刀の名前。最も我輩が勝手につけただけで、この刀には他に名前があるのだが……。
三池典太を我輩は引き抜き、孫権に切っ先を向け構えた。
「それが噂に聞く、変則の力を持つ刀ですか」
未だに孫権には、これと言って変わりはない。
体に蓄えられた命力のみを見ることができる。
違う。能力を常に使った状態になっているんだ。
僅かに命力は減っている。
それは流れ落ちる水道水の、一滴と表しても間違ってはないほど微々たる量だが、間違いなく減っていた。
「我輩と接触した時から能力を使っていたのか?」
我輩の問いに、孫権は大きく笑った。
「接触した時から?何を言ってるんですか?」
当たり前のように、能力を二つ同時に発動できるのか。
「開戦時からずっとですよ」
ここへきて、敵に戦闘意志が見られないのは気のせいか?
構うものか。いけっ!
我輩は三池典太を振り下ろした。
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