柳生十兵衛

11/17

1045人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
孫権が動き出す……。気をつけなければ。 “三池典太”(みいけてんた)。 これが我輩の愛刀の名前。最も我輩が勝手につけただけで、この刀には他に名前があるのだが……。 三池典太を我輩は引き抜き、孫権に切っ先を向け構えた。 「それが噂に聞く、変則の力を持つ刀ですか」 未だに孫権には、これと言って変わりはない。 体に蓄えられた命力のみを見ることができる。 違う。能力を常に使った状態になっているんだ。 僅かに命力は減っている。 それは流れ落ちる水道水の、一滴と表しても間違ってはないほど微々たる量だが、間違いなく減っていた。 「我輩と接触した時から能力を使っていたのか?」 我輩の問いに、孫権は大きく笑った。 「接触した時から?何を言ってるんですか?」 当たり前のように、能力を二つ同時に発動できるのか。 「開戦時からずっとですよ」 ここへきて、敵に戦闘意志が見られないのは気のせいか? 構うものか。いけっ! 我輩は三池典太を振り下ろした。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1045人が本棚に入れています
本棚に追加