戦争に反対した女

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アルバトロスと火焔球は、これ以上にないほど芯と芯が合ったはず。 つまり、完璧に成功したショット。 打ち出された火焔球は、轟音を奏で、火花を散らしながら、風神との距離を一気に詰める。 しかし風神は、迫り来る火焔球より遥かに早いスピードで動き、こちらから見て右の方角へうまく回避した。 避けられた火焔球は、そのまま直進し、群衆の中へ突っ込む。 「うわあぁああぁ!」 直撃した火焔球は、盛大に爆発を引き起こした。 流石にそううまくはいかないか。 やばい。一撃入れちゃったよ。 当然、怒ってるんだろうな。 敵は、こんな事されたんだから、何倍にもして返してやる、とか思ってるんだろうな。 やり返されるのは怖い。 痛いの嫌だ。 かまいたちによって切られた、左腕のかすり傷。 カッターで浅く切ったように、血が滲み出ている。 あああぁ。俺はブラックアウトで、深い傷を負った事がないからな。 回避した風神はその場で立ち止まり、口を開いた。 「なかなかやるじゃないか」
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