1091人が本棚に入れています
本棚に追加
風神は血を流しながらも、相変わらずの余裕な表情を俺に見せつけた。
かあああ。向こうの方が、同じ腕の傷でも深手なはずなのに。
何なの。この差。何なの。その涼しそうな表情。
カッコつけたって、本当はわかってるんだから。
痛いの我慢してるんでしょ?
見え見え。これだから、強そうに見える奴って嫌いなのよ。
「さすがは組長クラスだ。やはり手を抜いて、先に進むなんてのは、甘い考えだな」
「──!」
突如、風神の体からは、不吉な力が溢れ始める。
それを感じ取ったのは、直感以外の何物でもない。
命力が爆発的に上がった?
まさか。こんなにも底を隠していたのか?
数値化しても、個人差によって違うわけだから、大した参考にはならないが……。
それでも……。
「風神様が能力を使うぞぉおぉ!」
「離れろおおぉお!」
「来るぞ!能力がああ!」
この一騎討ちを見守る群衆は、危機を感じてか、逃げるように距離を取り始めた。
風神の命力は、さらに膨れ上がる。
これから何が始まるんだ。
俺も一緒に逃げたい。
屯所内が心配だ。
最初のコメントを投稿しよう!