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私は扉を開き、そのまま何も確認せず、部屋の中へ侵入しました。
前に、謎の廃墟で出逢ったヒカルが言ってましたね。
神と三国志は強いと。
後ろから追跡してくる曹操さんは、確かに強そうでしたね。
そして──。
震えるような脈動を全身で感じる。これが新たに強い者と接した時の、直感的な証拠。
また強い者が一人。
視界に映るのは、簡素な部屋の中。敷き詰められた赤い絨毯と玉座。部屋の左奥には何台ものモニターと、その機械の近くに何脚かの椅子。
その者は、私が来るのがわかっていたかのように待ち構えていました。
部屋の中央に堂々と立ち、私を見定めています。
この人が神ですか?
手には、孔雀が描かれた輝く美しい巨大な扇子を持っています。
敵はニヤリと笑ってから、口を開きました。
「よく来ましたね。天草四郎……」
ちょっと私とキャラが被っていますね。
同時に激しい音が響き渡り、再び扉が開かれました。
「やっと追いついたー!」
曹操さんですか。
早く神を移動させた方がいいですね。
瞬間移動で間合いを詰め、瞬間移動で敵もろとも移動させましょうか。
孔雀の扇子を如何にもやる気満々に、敵は構えています。
「──!」
「気づきましたか?」
敵は不気味に笑いました。
初めて襲いかかる不安と恐怖。
「天草さん。どうせ死ぬのだから、教えてあげましょう。この部屋では、神と三国志以外は、能力を使用できません。いわば、メビウスの輪にとっては絶対的な空間」
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