天草の誤算

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おそらくこの部屋は、運営側に多額の資金を積んで作らせた物でしょう。 新撰組の屯所も、巨額のお金が積んだはずですが、この鏡張りの建物自体が高いはずですから、明らかにそれ以上。 さすが、人数とランキングで1位なだけはありますね。 この自信たっぷりな感じ。 大丈夫。まだ警報が鳴っていません。 つまり、殺意を抱くような能力は使用していない。 後ろの曹操さんを除く話ですが。 見たところ、壁は普通のコンクリートですね。 一つだけ、小さな丸い窓があります。 あそこと、入ってきた扉しか、出入りする場所はないようですね。 破壊する選択が、一番早いんじゃないですか? 能力重視の私でも、少なくとも体術には多少の自信があります。 いいえ。駄目です。それくらいは、対策がとられているでしょう。 簡単に壊れるなら、あまりに意味のない部屋ですからね。 どうやら今までで、一番の窮地を自ら迎えてしまったようです。 ここは頭脳戦に持ち込みますか。 ああ。楽しくなってきました。 「動くなああああ!」 私は喉奥から、精一杯大きい声を出した。 懐から、なるべく隠すように覆いDIMを取り出す。 「そうです。私は新撰組の総長、天草四郎。この戦争は私の死を持って、終わらせる覚悟でやってきました。いわば特攻隊です。私の手の中には、自分の指で起爆する爆弾が握られています」
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